アンカリング効果とは、意思決定に大きな影響を与える心理テクニックです。
スーパーで購入するつもりもない商品を購入してしまったり、あまり好きでもなかった異性を突然好きになったりした経験はありませんか?
こうしたことは、多くの場合アンカリング効果に影響を受けてしまったためです。
この記事では、アンカリング効果の具体例、注意点を解説します。
日常生活にも役立つ内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
アンカリング効果とは? –意思決定に影響を与える–
アンカリング効果とは、基準となる数字や情報が提示されると、それが基準となり無意識に判断の目安になっていく心理状態を言います。
知識がないと判断基準がないため、アンカリング効果に引きずられてしまうのです。
心理効果
アンカリング効果とは心理学でいうところの認知バイアスのひとつです。
引用: Wikipediaより
認知バイアスとは、
認知心理学や社会心理学での様々な観察者効果の一種であり、非常に基本的な統計学的な誤り、社会的帰属の誤り、記憶の誤り(虚偽記憶)など人間が犯しやすい問題である。
ある事柄に対し、基準となる数値を与えられると判断にかたよりが生じます。
思い込み、レッテルも似たような心理からくるものですね。
アンカリング効果は数値化したものに対して使用されると思いがちです。
しかし恋愛や仕事などの対人関係にも影響を与えます。
後半で具体例を挙げていくのでぜひご覧ください。
語源
数字や情報を提示されると、人はその情報を中心に思考するようになります。
まるで、いかりをおろした船が身動きとれなくなってしまう様子と似ていますね。
そうしたことから、「いかりをおろす=Anchoring(アンカリング)」と言われるようになりました。
マーケティングでの活用事例
前述のとおりアンカリング効果は、いかりをおろすと船が動けなくなってしまう事に由来しています。
マーケティングでは価格表示にアンカリング効果を取り入れることで、お得感を演出します。
具体例をみていきましょう。
ケース1 スーパー お買い得感につられてしまう
スーパーなどで、購入する気もなかった商品をついついカゴにいれてしまったことはないでしょうか?
そのような場合、実はアンカリング効果が働いています。
これはスーパーでよく目にする広告です。
- 限定セール
- ただいま値下げ中
- 土日980円のところ平日780円 !
いつもよりお得な感じのするこうした広告におどらせられ不要なものまで購入してしまうことも多いでしょう。
ケース2 飲食店 豪華な内装にだまされる?
内装の豪華なレストランなどでは、普段より高いメニュー設定でも納得してしまったり、高いお酒を注文したりすることはありませんか?
これは豪華な内装にアンカリング効果が働いたためです。また豪華さにだまされ安いメニューでは不自然さを感じるのではないでしょうか。
最近ではインターネットで予約できるレストランも多く、店内の写真につられて高いお店を予約してしまったなんて事も耳にします。アンカリング効果によるものですね。
また昔からある定食屋だと、ワンコイン以上のメニューは高く感じます。
そのため財布のひもは緩めないといった意識が働きますよね。
このように数字だけでなく見た目にもアンカリング効果は使われます。
ケース3 営業マン 売上優秀な営業マンに踊らされている?
価格表示や見た目だけではありません。
こんな営業マンはいませんか ?
「xxさんなのでここだけの情報をお伝えします」と誘い文句を言ってきたり、「お得意様セール」という表現を使ったりしてアンカをおろしお客様のプライドをくすぐっていく営業マン。
「上得意様限定です」と書かれたダイレクトメールを受け取ると、ついつい購入意欲をそそられてしまいます。
やり手の営業マンはこうした心理効果を熟知しており、あらゆる方法で顧客の懐に入っていく事が得意なのです。
多くの営業マンは悪い人ばかりではありません。ただし、一部詐欺まがいの商品を売りつける営業マンもいるので注意しましょう
営業トークに踊らされることなくつきあっていくことが大切です。
アンカリング効果はこんなものにも使われる?
アンカリング効果は恋愛や仕事などの人間関係にも効果を与えます。
ただ人間関係にアンカリング効果を使用していくのは、あまりおススメできません。
ここから先は、こんな使い方もあるんだなというくらいでとどめておきましょう。
恋愛 ~自分を少しだけ良く見せるテクニック
先に挙げたいくつかの効果をみてわかる通り、アンカを効果的に下ろすことが大きなポイントになります。
恋愛では、どのような使いかたが効果的でしょうか。
実は、恋愛において第一印象をあまり良く見せないことは効果的な方法なのです。
普段なら好意を抱かないような異性に惹かれてしまった、なんて経験をされた方も多いのでないでしょうか。
これはあなたが、その異性に対しアンカを降ろしている事に起因しています。
第一印象があまり良くない人は、ふとした拍子に好印象に変わることがあります。
第一印象で低い位置にアンカを降ろされた結果、すこしだけ好印象を与えると途端にイメージがアップするのです。
ギャップ萌えという言葉がありますよね。これはアンカリング効果に似ています。
受け手が想像しているイメージ(これがアンカです)とのギャップによりプラスの感情が生じるのです。
第一印象は大切ですが、上手に使う事でイメージアップを演出ではますね !
仕事 ~仕事ができる人に見せるテクニック
ここも同様です。
上司の期待値(これがアンカです)を上回ることで、あなたの評価は上がります。
重要なのは事前にどのようなアンカをおろしておくか。
たとえば
- 指示された内容を上回る資料の作成
- 想定していた売上以上の商談をまとめる
こうしたことで上司の期待値を上回り、あなたの評価はあがることでしょう。
ただし仕事の場合、上司が何に重みをおいているのかを事前に把握しておくことも必要です。
「納期重視」「報告重視」「品質重視」「売上重視」など人さまざま。
普段よりコミュニケーションを図りその上司にあった対応をとることが最も重要です。あまり策に溺れないようにしましょう。
注意点 ~やり過ぎは注意
小売店やインターネットのサイトでこのよう広告を目にすることはありませんか。
セール中 ! 49,800円 → 4,980円
大幅な値引きを印象づけています。これは二重価格表示となり不当表示の可能性があります。
詳しくは消費者のHPで確認しましょう。
アンカリング効果は、利用方法によりプラスにもマイナスにもなります。とくに印象操作をやりすぎると、人間関係を壊す場合もあります。上手に使うことが大切です。
引用:消費者庁のページより
二重価格表示についての基本的な考え方
(1)次のような場合は二重価格表示に該当するおそれがあります。
同一ではない商品の価格を比較対照価格に用いて表示を行う場合
比較対照価格に用いる価格について実際と異なる表示やあいまいな表示を行う場合
(2)過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示について
同一の商品について「最近相当期間にわたって販売されていた価格」を比較対照価格とする場合には、不当表示に該当するおそれはありません。
同一の商品について「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とはいえない価格を比較対照価格に用いる場合には、当該価格がいつの時点でどの程度の期間販売されていた価格であるかなどその内容を正確に表示しない限り、不当表示に該当するおそれがあります。
※「最近相当期間にわたって販売されていた価格」については、価格表示ガイドライン第4の2(1)ア(ウ)を御覧ください。
(3)将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示
表示された将来の販売価格が十分な根拠のあるものでないとき(実際の販売することのない価格であったり、ごく短期間のみ当該価格で販売するにすぎないなど)には、不当表示に該当するおそれがあります。